1914年、締めくくりに登場するのは「こぎん刺し」
今年送り出したものと、形に仕上げつつも送り出せなかったものなど
縁があってネット蚤の市に寄付させていただけたマット(小物敷き)
模様はテコナ(蝶)が主で、ほかに猫の足(肉球)やハナコ(花)など
同じ大きさのマットをもう一枚作っていて
それがこの仕上げながらも送り出せなかった一枚。

模様は馬のくつわと猫の足、周りをハナコ(花)とカチャラズ(裏にあらず?)で囲っている。
麻布の紺地に生成りの木綿糸で総刺しにした基本的なこぎん刺しである。
刺しあげて端の始末をし、アイロンを当ててさてようやく5枚目ができた・・・と
横にして写して、縦にして写して
元々きちんと正面にしてみると縦長の模様になるのがこぎん刺し。
縦長になるように写したものを見直すと・・・はらほろひれはれ~~~

全く気が付かないまま仕上げていたが、両端に模様の違いを発見。
発見…って、自分で作ったものが解っていなかったということ?
そういうこともある六十歳、いやいや齢のせいにするのはずるいよねぇ。
ためつすがめつ見つめること数十秒。。。。。
作った本人でも気が付かなかった間違いだけど、分かった以上は送り出せない。
昔々から伝わっている模様を自分なりに組み合わせて
だから左右上下が違っていてもどうということは無いのかもしれないが
間違ったことは本人が一番よく知っている^^
ということで作り直した一枚が次のもの

小さなマットだけれど、作り手の気持ちとでもいうのか
津軽で生まれた「こぎん刺し」への礼儀のようなものがあって、それは通したい♪
送り出せなった一枚は今も手元にあって毎日ちらりと目に入って来る(^^ゞ
5枚のマット(小物敷き)の他に小さなコースターを2枚
模様はコマクラ刺しで、コマクラは小枕なのか木枕なのかよくわからない^^
※模様のことで一つ♪
カチャラズ(裏にあらず)と書き記したが、ちょっと説明がいるかも~~
マメコ(豆)という模様があって、その中心は裏返してみると良い感じの四角になる
そこで独立した一つの模様として扱うようになったのがカチャラズ
カッチャの津軽弁は一つには「母さんー母ちゃんーかっちゃ」で母の意味があり、
もう一つは服をカッチャに着るなどという言い回しに使う「裏」の意味がある。
マメコ「豆」の裏の模様だけど、表に出せば裏ではない、ちゃんとした模様になる
なので「カッチャ(裏)にあらず」から「カチャラズ」となったらしい。
名前としては一番好きかも~というカチャラズの話♪
目的が無くて作っているとき(手が忘れないように)
端切れで小さなものを刺して楽しんでいる
その中の2枚を使ってパソコン用の手首クッションに仕上げてみた。
仕上げたといっても2枚をくっつけて中に厚みを持たせる布を一枚入れただけ
その表に使っているのがコマクラ刺しをカチャラズで囲んだもの♪
こういうふうに言うと楽しい^^
実際に置いている様子が次の画像で、なんか、いいかも~~^^
小さな小さな端切れもこんな感じで使っている
こぎん糸を束ねたり、ラベンダーを詰めて匂い袋にしたり
ひとり楽しむのもまたよろし^^
送り出せなった一枚については「柳 宗悦」氏が工藝の中に書き残してくれた
「こぎんの性質」(昭和7年)の中の一文がずっと心の中に残っているから
※ 醜い「こぎん」はない。一枚とてない。
捜しても無理である。品に多少の上下はあろう。
模様に幾許かの甲乙はあろう。だが悪いものとてはない。
なぜ醜い「こぎん」がないのか。別に秘密はない。
法則に従順だからだと「こぎん」は答える。
この答えよりはっきりしたものはない。
このほかにも情熱的な文が沢山あって、
ここまでこぎん刺しを理解してくれた人がいることが嬉しくて
ウソやズルは出来ないな、と・・・^^
来年も楽しく、がんばらなくっちゃ~~です。
今年一年、お付き合いいただいてありがとうございました♪